従業員やスタッフは、労働集約型事業における重要な“商品”であり“戦力”です。消費者や顧客(患者)によいサービスを提供するために、経営者は“商品”や“戦力”たるスタッフの満足度を高めることが必要です。スタッフの満足度を度外視して、顧客(患者)満足度を高めようとしても、それはなかなか長続きしません。スタッフの満足度と顧客(患者)満足度は、車の両輪のようなものです。片手落ちでは成立しません。
では、スタッフの満足度を高めるにはどうすればよいのでしょう。「定時で帰りたい」とか、「お給料をたくさん欲しい」とか、いろんな欲求がスタッフにはあるものですが、それらの欲求(≒現場の声)を正確に把握することが肝要です。それら(≒現場の声)を無視して、経営者の主観であれこれ施してみても、スタッフの満足度はなかなか向上しません。そこで、スタッフの考えていることを確認する(≒スクリーニングする)ところから取り組みます。
スタッフ満足度調査を実施するような話は、いろんなところで見聞きします。それぞれに目的があろうかと思いますが、スタッフ満足度調査によってスタッフが職場に対する評論家になってしまっては、まったく建設的ではありません。実施することによって、「パンドラの箱」を開けてしまったかのように不満が噴出してしまうのは愚の骨頂です。そうならないように、実施したその先に、どのような伏線回収ができるかを設計することが大切です。
また、調査主体は経営者ではない方が望ましいです。調査票の提出先は、当社のような第三者とし、第三者が集計・分析して、個人名が特定できないような配慮をして、経営者にレポートするのがセオリーです。そうすることによって、スタッフは下手な忖度せずに、日頃思っていることを共有してくれます。
調査の項目に関しては、“チェック式や点数形式にしてオンラインで回収すれば済む”という調査にありがちですが、設問を細分化し過ぎてしまうのは、スタッフを評論家にしてしまう危険性があるでしょう。ゆえに、クローズドクエスチョンではなく、オープンクエスチョンでシンプルに設問するのが肝要です。
それらを考慮し、きちんと設計されたスタッフ満足度調査は、スタッフが安心して建設的な意見を書けますので、スタッフを「職場想いの応援団」のような目線で、いろいろと建設的な現場の声を寄せてくれます。そして、スタッフを啓蒙する研修効果も期待できます。
調査の項目は、マズローの自己実現理論をアレンジして、階層的に調査します。そして、職場の強みと課題を抽出して、スタッフ満足度調査の総合評価をします。どのような傾向の職場なのか、どこに気を付けてマネジメントすればよいのか。どこをさらに強化して経営すればよいのか。それを経営計画に落とし込みます。
スタッフ満足度調査は、年1回程度はスクリーニングした方がよいと思います。血液検査のようなものでしょう。現在とくにマネジメント上の問題がないと経営者が思っていても、健常な時にベースを取っておいた方がよいのは臨床もマネジメントも同じです。そして、時系列でどのように推移しているのかを把握することによって、プロアクティブに経営できるのです。
動物病院の医療従事者は、血液検査やスクリーニングの必要性を当然ご存知かと思いますが、「医者の不養生」というように、臨床でお忙しい経営者はご自身の職場のスタッフ満足度に関しては、ついついトリアージしてしまっているように感じます。
スタッフ満足度調査を活用して、マネジメントをしっかりと推進したい方は、一度ご相談ください。
【まとめ】
・スタッフの満足度をスクリーニングする。
・マズローの自己実現理論による階層的な欲求の満足度を調査する。
・満足している点と、目指すべき方向性を導き出す。
・年1回は調査して、時系列に把握する。
・プロアクティブにホワイトな組織を目指す。