マーケティング、すなわち、見込み客や見込み患者を集める「販売促進」「販促」「宣伝」等のコツは、「1番」にこだわることです。なぜならば、人は「1番」に集まるからです。
日本で一番高い山は、富士山です。では、2番目はどこでしょう?
日本で一番広い湖は、琵琶湖です。では、2番目はどこでしょう?
世界で初めて大西洋単独無着陸飛行に成功したパイロットは、リンドバーグです。
では、2番目は誰でしょう?
人は誰しも1番は分かるのですが、2番以下はなかなか覚えていません。1番は目立つのですが、2番以下は目立たないのです。
マーケティングとは、1番になれるモノと場所を探すことです。1番になれば、見込み客に認知してもらい易くなるので、事業者は誰しも1番を目指すのです。もしも2番以下がジャンジャン広告を打つと、それをみた消費者はその商品への購買意欲が高まり、1番に行くのです。1番になれば、不況期でも安泰です。
一方、2番以下であれば、1番においしいところを持っていかれないように、こっそりとゲリラ戦でサバイバルせざるを得ません。2番以下なのに、猪突猛進のように販売促進をするは、ライバルの1番を儲けさせるだけなので、賢明な経営者は慎みます。
では、1番って何でしょう?それは、シェア(支持率)で測ります。そのエリア(商圏・診療圏)でどれくらいのシェアを得ているかで判定します。民間の自由競争マーケットであれば、シェア26%を獲得すると1番です。強者です。7%未満であれば、名前すら知られていません。弱者です。強者と弱者では戦い方が全く違うのです。
もしも、自社が2番以下だったら、どうすればよいのでしょう?それは、差別化(セグメント化)することです。高い山というランキングでは富士山に勝てないけれど、樹氷が美しい山であれば、蔵王は十分に勝てます。広い湖というランキングでは琵琶湖に勝てないけれど、うなぎの美味しい湖であれば浜名湖は十分に勝てます。大西洋単独無着陸飛行に成功した順番ランキングであればリンドバーグに勝てないけれど、大西洋単独無着陸飛行に成功した飛行タイムと燃費ランキングであれば2番手のヒンクラーは十分に勝てます。このように、差別化して、自分の土俵で戦うことが弱者の戦略なのです。
それでは、貴社の1番は何でしょう?動物病院(小動物臨床)であれば、犬か猫かエキゾのどれかで差別化できます。例えば、「猫ならお任せください」「フェレットならお任せください」など。(ただし、診療圏人口が多く見込めるエリア限定で、人口の希薄なエリアでは通用し難いでしょう)
また、全科診療のゼネラリストである前提で、何か得意な症例があれば、その長所を差別化していくこともできます。「循環器外科ならお任せください」「筋骨格系&リハビリならお任せください」など。そして、多くの認定医が競合する腫瘍などはさらにセグメント化し、「外科」「放射線」「抗がん剤」「緩和療法」どの組み合わせのパターンが得意なのか、どう差別化していくかを検討して、タイムリーにPRしていきます。
【おまけ】何も長所がなかったとしても、例えば「平日の晩は21時まで診療」という特徴で差別化することも可能です。
このように、自院の強みを客観的に洗い出し、その長所を伸ばしていくことが、(分かりやすくいうと)ランチェスター戦略での経営です。
それらの強みや長所は、シェアによって、打ち出し方が異なります。私共の場合は、シェアを確認しながら、段階的にタイムリーに打ち出します。なぜならば、販売促進にはメリットだけでなく、デメリットもあるからです。人員体制や技術やサービスが整っていない段階で、もしもPRを強化すると、残念な病院であるという負のPRを促進することになってしまいます。一度「あそこはイマイチだよ」という第一印象を持たれてしまったら、それをリカバリーするのはなかなか大変です。
とくに、開業間もない病院の場合は、閑古鳥が鳴くからといって苦し紛れに派手なPRに手を出したくなるものですが、販促の副作用に十分ご留意ください。
そもそも、販促に依存する前に、外来数を増やす打ち手はあるものです。
(「外来数の増やし方」に関してはコチラでも触れていますので、ご参照ください)
副作用に留意しつつ、シェアに合わせて段階的にタイムリーにPRしていくのであれば、まずは待合室のポスターからです。季節によってはダイレクトメール。同時に、HPのコンテンツの拡充。そして、SEO対策。この辺りの施策が、副作用に留意した弱者の戦略でしょう。
経営が軌道に乗ったら、あとは勝手にシェアが上がり出すのに任せて、さらなる差別化を強化したり、競合に負けないものをさらに付加したりして、優位性を確立していきます。
セカンドオピニオン症例を集めたいような場合は、WEB広告も併用します。リスティング広告や、リターゲティング広告です。
集患や販売促進に苦心することがあれば、まずはランチェスター戦略の根本部分を見直してみた方がよいかもしれませんね。
シェアを把握してランチェスター戦略で戦い方は、一度ご相談ください。
【まとめ】
・商売には強者の戦い方と弱者の戦い方がある。
・まずは自社のシェアを把握することが大切。
・シェアに合わせて、身の丈に合った販売促進をすることが肝要。
・販売促進には副作用があるので注意。