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動物病院の中長期経営計画

動物病院の外来数は、スタッフの人員数によって上限が決まります。よほど腕の悪い病院でなければ、閾値に達するのは時間の問題です。そして、時間外でも診るようになったり、週末希望の患者さんをどうにか平日に来てもらえればという視点で平日の夕方を時間延長したりします。

そうこうしているうちに、やはり外来数の限界がやってくると、野戦病院のような状況になってしまいますから、人員の増員を検討しなければなりません。ただし、野戦病院のような状況になってからあわてて求人をすると、焦って残念な応募者を採用してしまう危険性がでてきます。したがって、中長期での人員計画を、稼働率をチェックしながら余裕をもって立てることが肝要です。

ちなみに、人員を増やすと人件費が嵩みますので、なかなか積極的に採用できないなぁと考えてしまう経営者心理はよくあります。人件費がダブつくと利益が吹き飛び、人件費を削ると野戦病院になりやすい…。このジレンマはどうすればよいのでしょうか。

異業種でもよく「チャンスロス VS 廃棄ロス」のジレンマが話題になります。バイヤーが、「品揃えを充実させていれば売上が伸びたのに…」というチャンスロス。一方、「品揃えを充実させすぎたが故に在庫を抱えてしまい、廃棄することになっちゃった…」という廃棄ロス。どちらの罪が重いかというと、答えは前者です。チャンスロスをしてはいけません。廃棄ロスを恐れず、チャンスロスを出さないように積極的に品揃えを強化しなさいというのが商売の基本的な考え方なのです。(もちろん、無謀な仕入れはNGですが)

動物病院の人員計画に関しても同様です。労働集約型事業である動物病院は、人材が商品であり、財産です。人を揃えないことには始まりません。増員すればするだけ、患者さんはついてきてくれるものです。

「え?そんなこと言っても、人が余ったらどうするのよ?」と思いますか?余ったら余ったで、診察時間や休診日をアレンジすればOKです。週末はAMしか診ていないのであれば、午後も診れば患者さんも喜びます。週1日休診日があるのであれば、年中無休にすれば患者さんは喜びます。つまり、チャンスロスのジレンマをどう解消することができるか。そこが運命の分かれ道です。考え方を積極的に保てるかどうかで、大きな差となるのです。
(「考え方」に関してはコチラでも触れていますので、ご参照ください)

巷では、犬猫の飼育頭数が減っているとか、廃業する動物病院が目立つとか、前年割れしている病院の話を薬屋さん経由で耳にするとか、ネガティブな情報が跋扈しますが、獣医療のクオリティが一定以上を維持できている病院であれば、外部要因はあまり関係ありません。人口減少社会だからこそ、人は犬猫を飼育するのです。承継できないほど事業規模が小さい病院が廃業するのです。離職による人手不足で外来数を従来ほどこなせない病院が、前年割れするのです。
我々のクライアントでは、突発的な人員不足によって業績がブレることはあっても、外部要因によって苦戦している病院は皆無です。

従いまして、よほど腕の悪い病院でなければ、あまり消極的にならず、気をしっかり持って、積極的に、中長期的に、人員計画を立てて、プロアクティブに経営しましょう。

優秀な経営者は、総じてポジティブです。シビアなビジネスシーンで勝ち残る経営者は、オプティミスト(楽観主義者)が多いように感じます。もちろん、四六時中ではないです。①ポジティブに構想し、②クリティカル(批判的)に計画し、③ポジティブに実行をするのです。動物病院の経営も同様かと思います。1年の計は元旦にありですが、年初にどんな未来をイメージしたでしょうか?経営環境が悪化しても外部要因に振り回されず経営するには、まずポジティブに構想することです。

それが済んだ前提で、次はクリティカルに中長期の計画を立てます。これらの構想と計画が無ければ、羅針盤のない航海のようなものです。

人員計画を客観的にチェックして欲しいという方は、一度ご相談ください。

【まとめ】
・動物病院の外来数は、人員数によって上限が決まる。
・あわてて求人をすると、焦って残念な応募者を採用してしまう。
・さりとて、後手に回ると野戦病院になってしまう。
・チャンスロスを出さないように、人員計画は積極的に。