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動物病院や中小企業における陰性感情の克服

司馬遼太郎曰く、中国で明の時代に、ある医者が、罪人の死体を解剖したそうです。従来の五臓六腑の図と大きく異なり、とても驚いたらしい。その時の医者は、五臓六腑の図を改めようとせず、「罪人だから内臓も違うのだ」と言ったそうです。ひょっとしたら、その医者は陰性感情に支配され、モノゴトを消極的にとらえる癖がついてしまったのかもしれません。

一方、日本の優秀な医学者の考え方は違いました。1754年、山脇東洋という医学者が、死刑囚の屍体の腑分け(解剖)に立ち会い、観察記録を残しました。1759年に「蔵志」という解剖図録を刊行し、その後、杉田玄白が1774年に西洋の医学書を翻訳し、「解体新書」へとつながったそうです。積極的な考え方の先達のおかげで、日本の医学は大きく成長しました。そして、今日でも「獣医師の誓い‐95年宣言」や、獣医師法等では、良識と品位について言及し、積極的な考え方を啓発しています。

この場合の積極的とは、決して”無神経にゴリゴリ前進する”というニュアンスではありません。「自身の良心に恥じぬよう、お天道さまがみているという気持ちで、感謝の気持ちをもって、人事を尽くす」という趣旨です。

京セラやKDDIを創業し、JALを再建させた稲盛和夫さんはこんなことを仰っていました。
人生や仕事における成果を最大化させるコツは、以下の方程式で表現される、と。
『人生・仕事の成果=考え方×熱意×能力』
【考え方】【熱意】【能力】 は決して足し算ではなく、掛け算です。
【熱意】や【能力】は人それぞれで、0点⇔100点とブレはしますが、それでも「50歩100歩」というように、決定的な差を生み出す要素とまでは言いきれません。しかし、【考え方】に関しては、-100点⇔100点とマイナスにもプラスにもブレるので、注意が必要です。
例えば、偏差値70の大学を出たけど、やる気は人の半分しかなく、考え方もネガティブな人は、70×50×(-10)=-35000点になります。
一方、偏差値50の大学を出て、やる気は人の半分しかないが、考え方がそこそこ積極的な人は、50×50×10=25000点になります。
優秀な人材でも、【考え方】が消極的だと、とても迷惑な存在になってしまいます。

職場全体で【考え方】を積極的に保つためには、定期的な啓蒙・啓発が必要です。スタッフの目線を上げ、働く目的を再確認して、人としてどう生きるのが正しいかを問う機会を設けていますでしょうか。
臨床の現場の仕事とは直接関係がないと思われがちですが、医療従事者はワーストケースを想定するのが常ですし、悪いところ(患部)やリスクを早期発見するのが仕事ですので、よく言えば思考ロジックがクリティカル、有体に言えばネガティブです。仕事が立て込んでネガティブな思考に埋もれてくると、陰性感情に支配されやすくなります。したがって、自身の心を整える機会として、定期的な啓蒙・啓発をするべきだと思います。

日常的な啓蒙・啓発は、例えば「獣医師の誓い‐95年宣言」を朝一番に唱和するだけでも構いません。その会社にクレドがあれば、クレドを唱和するのもベターでしょう。お奨めなのは、朝一番というタイミングです。その日一日のマインドセットが大事だからです。

朝一番というのは、身近な例で言うと、家に仏壇がある家庭であれば、位牌に手を合わせてから一日がスタートすると思います。商売人の家庭であれば、神棚に手を合わせてから商売を始めると思います。飲食店であれば、店前を掃除・打ち水し、入り口に塩を盛ってから開店すると思います。百貨店であれば、10時の開店時はスタッフ総出でドアを開け、深々と頭を下げてお客様を迎え入れると思います。金融機関であれば、9時の開店時はスタッフ総出でシャッターを上げ、丁重にお客様を迎え入れると思います。
これらは、一体何のためにやっているのでしょう?お客様のためであるかもしれませんが、意図するところはスタッフ自身のマインドセットのためでしょう。初心を忘れることなく、今日一日を頑張るぞと、自分に再確認するため。つまり、朝一番で自分に暗示をかけるよう、仕組み化されているのです。

以上のような積み重ねで、「積極的な考え方」を職場に浸透していきます。そうすることで、陰性感情をプロアクティブに克服し、生産性が向上していきます。

現場の「陰性感情」でお悩みの経営者は、一度ご相談ください。

【まとめ】
・人生・仕事の成果=考え方×熱意×能力
・現場の考え方を「積極的」に啓蒙していく必要あり
・朝一番の暗示を仕組み化する