ニュース

NEWS
  1. Home
  2. /
  3. ブログ
  4. /
  5. 動物病院や中小企業の資金繰りについて

動物病院や中小企業の資金繰りについて

12月は冬の賞与を支給する企業が多いと思います。スタッフにしてみれば嬉しい話ですが、中小企業の資金繰りにおいて、経営者は慎重になるシーズンです。繁忙期・閑散期の季節性を考慮すると、繁忙期はキャッシュがたくさん入ってきます。しかし閑散期はその逆で、キャッシュが相対的に少なくなります。閑散期のタイミングで大きな支出(賞与の支払いや消費税の納税等)が重なると、業種によっては運転資金がショートしやすくなるので注意が必要です。

例えば、動物病院のケースで季節性を考慮しながら検証してみます。春の予防シーズンは繁忙期ですから動物病院にはキャッシュがたくさん入ってきます。夏も皮膚疾患症例や夏休みのお預かり(ホテル)等でそこそこ忙しいでしょう。しかし、秋にかけては「天高く馬肥ゆる秋」というように動物は元気ですから、病気の症例数・外来数は緩やかに落ち着きますので、入ってくるキャッシュが相対的に少なくなります。冬はさらに落ち着きます。そのタイミングで冬の賞与を支給しますから、気温が下がるとともに運転資金の懐具合も寒くなります。資金繰りの観点から「りんごが赤くなると院長の顔色が青くなる」と揶揄されたりします。そして、12月に入ると、薬屋さんからは、来春の予防シーズンのボリュームディスカウントキャンペーンの案内が届き始めます。年末年始から年明けにかけて先行発注し、2月くらいから納入され、大きな支払いが発生します。最近、薬屋さんは分割払いをなかなか了承してくれません。資金繰りに余裕がないと、まとめ買いのメリットを享受できなくなり、五月雨(さみだれ)式の発注・納品になってしまいます。そんなタイミングで、個人事業主や12月決算の会社では消費税の納付も2月に重なります。このようなタイミングは、一般的には運転資金がショートしやすくなります。

以上のような実情を踏まえ、動物病院の運転資金は、月商の1~1.5か月分以上を目途に確保しておくのが経営のイロハのイです。企業努力によって、資金繰りは改善します。詳細は動物病院のパートナーとしての金融機関や動物病院や中小企業の財務基盤を強化するをご参照ください。

そして、資金繰りが改善したら、経営手法の根本的な見直しも、建設的に検討してみることをお勧めします。経営というと、どうも気後れしたり、苦手意識があるかもしれません。あるいは、長年経営をされてこられた院長であれば、経営にそこそこ自信がおありかもしれません。しかし、経営状況というのは、動物の体調と同じで、定期的にスクリーニング検査をしておいた方がよいです。

ただし、動物病院の経営者(院長)は、臨床の勉強が多岐に渡ります。経営や資金繰りの勉強は、忙しさに感けて後回しになりやすいと思います。お忙しい院長が、経営にも向き合おうと思ったら、独学でコツコツ勉強したり、同業者に気を遣いながら教えてもらうのも悪くはないですが、合理的&確実なのは、獣医師ではない経営の専門家に早いタイミングで相談してしまうことです。「鉄血宰相」の異名を持つドイツの初代宰相を務めたビスマルクは言いました。「愚者は自分の経験からしか学ばないが、賢者は他人の経験に学ぶ」と。スキーやゴルフもそうですが、自己流で練習してもなかなか上達しません。しかし、早い段階からその道のプロに学べば、スムーズに成長できます。これは経営も同じです。最初からプロ(実績のある経営コンサルタントなど)に学ぶのが得策です。財務の健全化はもちろん、中長期の成長戦略もプロアクティブに検討することができます。

想像してみてください。患者満足度が高まり業績が向上することがいかに素晴らしいか。患者さんが口コミであなたの動物病院を絶賛し、スタッフがイキイキした顔で働いている。
人員の採用・育成・定着も安定し、院長のあなたも時間の余裕と自信を取り戻す。抑えていた院長自身の収入も増えて、家族も心なしかご機嫌。診療圏の患者さんからは、無くてはならない存在として、今以上に慕われる。結果として業績が向上する。そして、自由な未来が描ける…。
やはり、ストレスフリーに病院を繁盛させてこそ、開業した甲斐があるってものですよね。

もしもこの冬の閑散期に、資金繰りに懸念がおありでしたら、それは「経営手法の根本的な見直しを検討しなさいというシグナル」と受けとめて、経営を見直されることをお勧めします。また、資金繰りに懸念がない健全な企業だったとしても、定期的にスクリーニング検査をしておいた方がよいかと思います。

思い当たる節がある院長先生は、一度ご相談ください。

【まとめ】
・閑散期に大きな支出(賞与や消費税の納税等)が重なると、運転資金がショートしやすくなる
・運転資金は月商の1~1.5か月分を目途に確保する
・資金繰りが悪化したら、それは経営手法の見直しをしなさいというシグナル
・健全な経営状態だったとしても、スクリーニング検査はしておくべき