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動物病院の生産性をスムーズに向上させる育成システム

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労働集約型の事業が生産性を向上させるには、人材育成が肝ですが、仕事を「見て盗め」ではなく、すくすく育つ仕組みを構築することが肝要です。再現性高く育成するには、どのようなシステムを構築すればよいのでしょう。

異業種の実例にそのヒントがあります。その異業種とは、スクールビジネスです。自動車教習所とか、公文式の学習塾とか、スクーバダイビングのライセンスを取得するスクールとか、テニススクールとか、スイミングスクールとか、いろいろあります。ド素人に技能習得させるプロは、どのような工夫をしているのでしょうか。

それらのスクールビジネスに共通するポイントを列記してみると、以下の通りです。
① シラバスをしっかりと整備している
② 基本編を習熟しなければ応用編に進めない仕組みにしている
③ カリキュラムはスモールステップで多段階に設計されている
④ 理論と実践を反復練習する仕組みにしている
⑤ 複数人数での座学もあれば、マンツーマンの実践もある

例えば、自動車教習所は車を運転するという技能を身に付ける教育機関ですが、学ぶべき技能を第1段階から第4段階まで分け、いろいろな項目を細分化して、座学と実践を順序だてて習得していきます。第1段階での見極め(合格)を教官からもらわなければ、第2段階以降に進めません。サボれば足踏みしますし、授業料が嵩みますので、生徒にとって自己責任で学んでもらうシステムです。どんな人でもスムーズに技能習得できる秀逸な育成システムです。

それでは、動物病院やトリミングサロンの人材育成は、どのようなシステムを構築すればよいのでしょうか。基本的には上記①~⑤を模倣するのが近道です。その背景は以下の通りです。
「自分は何が分からないかが分からない状態」に陥らないためには、①や③が必要です。「頭でっかちで何もできない口だけ番長」を誕生させないためには、②や④が必要です。限られた教育係のマンパワーを上手に投下するには、⑤のようにスクール形式とマンツーマン形式を併用した方が効率的です。(基本編はスクール形式、応用編はマンツーマン形式が適切のようです)

動物病院やトリミングサロンで学ぶべき内容は多岐に渡ると思いますが、そのジャンルを大別すると、「職人として学ぶべきこと」「商人(サービス業従事者)として学ぶべきこと」「社会人(および教育者)として学ぶべきこと」に集約されます。いずれのジャンルも、できるだけ数字での目標値を設けることが生産性を高めるコツです。(〇〇は▲分で出来るのが目安です、など)

それらの3つを網羅的にカリキュラム化することがなかなか大変なのですが、私共のクライアントの動物病院では、数カ月かけて幹部スタッフと議論をしながら取りまとめています。春の予防シーズン等の繁忙期はそれどころではありませんが、秋~冬にかけて集中的に仕上げる場合が多いです。それらを何十年も繰り返していますから、おおよその雛形はほぼ仕上がっており、それを自院に当てはめられるかどうかを取捨選択していただきますから、数か月位で作成可能です。

それらが仕上がったら、各自が自身の現状にあったランク(該当カリキュラム)を確認し、そこに記載されている項目を半年~1年かけてマスターするように取り組みます。習熟できたら、賃金体系に紐づいて昇給昇格させていくのが合理的です。(「賃金体系」に関してはコチラで触れていますので、ご参照ください)

習熟できたかどうかを半年や1年サイクルで査定するのですが、そのサイクルで一発勝負というのはなかなかスリリングになってしまいますので、できれば1週間サイクルでPDCAを回すようにしています。今週取り組むべき項目を目標(PLAN)として決め、1週間かけて現場で実践(DO)してみて、その出来具合をチェック(CHECK)し、改善点を導き出す(ACT)というサイクルです。その際、OJTに寄り添う上長を決め、マンツーマンレッスンを実施します。PDCAが1周回ったら、その上長にフィードバックコメントをもらい、成長の糧にしていきます。

以上のようなシステムで、仕事を「見て盗め」ではなく、すくすく育つ仕組みを構築し、生産性をスムーズに向上させるようにしています。ご参考になれば幸いです。

生産性をスムーズに向上させる育成システムを作成したい方は、一度ご相談ください。

【まとめ】
・労働集約型の事業が生産性を向上させるには、人材育成が肝。
・段階的にカリキュラムを作成し、数字での目標値を設ける。
・カリキュラムの雛形を用いると数か月で作成できる。
・作成出来たら、PDCAサイクルでOJTを回す。
・習熟できたら、賃金体系に紐づいて昇給昇格させていくのが合理的。