ニュース

NEWS
  1. Home
  2. /
  3. ブログ
  4. /
  5. 動物病院における管理会計とPDCA

動物病院における管理会計とPDCA

売上の構成要素はいろいろあります。客数×客単価、人員数×生産性、商圏内総需要額×シェア、いろんなパターンがあります。自社にとってフィットするパターンを選択し、そこからさらに因数分解して、KPI(Key Performance Indicator、重要業績評価指標)を導き出し、そのKPIを伸ばしてくことが管理会計です。

例えば、客数×客単価。客数というのは、動物病院では外来数に相当しますが、外来数を因数分解すると、新規診察患者数、再初診患者数、再診患者数、薬のみの患者数、美容・ホテルの件数に分かれます。客単価というのは、病院の客単価、併設しているトリミングサロンの客単価に分かれます。いずれも、季節によってどう推移しているのか、どこが増減しているのか。それらを把握して、施策を打っていくのが管理会計です。

経営コンサルタントというのは、広告代理店の営業マンではありませんから、闇雲に広告を駆使して集患しましょうという提案を(私の場合は)慎んでいます。むしろ、KPIを絞り込んで、タイムリーに強化するのが正しい経営でしょう。

異業種を例に挙げると、業績を上げようとしたとき、闇雲に集客するのではなく、どの顧客にアプローチすると効率的か?を考える企業が賢明です。通販であれば、靴の購買履歴に着目し、その顧客を重点的にアプローチするのが正解です。なぜなら、靴というのはサイズがフィットするかどうかがデリケートな商品なので、試着してから購入するものです。それを通販で購入するというのは、よほどそのお店への信頼が厚いということです。信頼の厚い客(長所)をさらに伸ばすのが、商売のセオリーです。

また、例えばコンビニの場合。敏腕スーパーバイザーは、店前のごみ箱に捨てられている空き缶や空のペットボトルに着目します。なぜかというと、それらは、基本的にコンビニに立ち寄るドライバーの捨てたものだからです。来店客の好みというデータがゴミ箱の中に眠っているのですから、彼らはそこを見逃しません。

ペットショップであれば、一人暮らし世帯の多い商圏では“デオシート”のような1日分しっかり吸収するペットシーツが売れます。日中誰かが家にいるファミリー世帯が多い商圏では、“こまめだワン”のような気軽に取り換えられるものが売れます。

小売業の世界では、「顧客管理」「単品管理」といって、上記のようなことを普通に分析します。そのうえで、PDCAを回して改善を重ね、管理会計で業績を向上させていくのです。

このような手法を動物病院に当てはめれば、何をどう伸ばしていけばよいかが分かります。
例えば、もしも再診患者数が伸び悩んでいるのであれば、医局ミーティングで、処方する薬が何日分なのか、次回来院日を何日後にしているかを分析し、先生方と話し合います。稼働率に余裕があれば、「2週間後ではなく1週間後に来院してもらいましょう」と決めるだけで、再診患者数が増加し始めます。その決めごとに基づいて、PDCAで改善を重ねていけば、再診患者数は自然に増加します。

稼働率に余裕がなければ、曜日別・時間帯別の分析をします。余裕のある曜日や時間帯へ外来数を誘導することで、外来数の交通整理ができます。それによってキャパシティを捻出すれば、外来数を増やす余地が生まれ、自然に増加してくれます。

それでもキャパオーバーであれば、今度は診療時間や曜日そのものをアレンジしつつ、人員体制を見直す段階です。人員計画に関しては、早め&ポジティブに着手した方が賢明だと思います。(「人員計画」に関してはコチラでも触れていますので、ご参照ください)

通常の会計では、客数は単なるレジ通過客数ですが、因数分解していくといろんな要素があり、それを創意と工夫で改善していくことで、業績は向上します。それが管理会計の面白いところです。

管理会計を見直したい方は、一度ご相談ください。

【まとめ】
・管理会計とは、未来を示す先行指標による会計。
・売上を因数分解してKPIを導き出す。
・PKIを客観的にどこまで伸ばせるかを計画する(PLAN)。
・計画した予算に向けて実績を残す(DO)。
・予実をチェックして伸びしろをさがす(CHECK)。
・次の計画への改善点を導き出す(ACT)。
・PDCAを回せば成長スパイラルに入りやすい。