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動物病院の事業承継のビフォアー・アフターについて

フクノカミについて

事業とは永続性を前提にしています。(ゴーイング・コンサーン)
ステークホルダーとの関係を良好に保ち、従業員の雇用を守り、商圏内の顧客や診療圏内の患者のために貢献していくことが社会的使命です。ということは、事業承継はマネーゲームではありません。事業承継は永続性のための手段です。後継者にスムーズにバトンタッチできるような準備を早い段階からしておくことが理想です。

ちなみに、医療法人であれば、後継者は医師・歯科医師であることが原則求められます。そして、医療法人は資本多数決の原理にとらわれませんから、社員一人ひとりの賛同を得て経営上の意思決定を行わなければなりません。つまり、医療法人は、後継者が暴走するようなことはできないように配慮されています。

一方、動物病院の場合は株式会社や有限会社や個人事業になりますので、獣医師でなくても、また経営の素人だったとしても、後継者・経営者になれてしまいます。資本多数決の原理で、株主総会でモノゴトが決まれば、その通り執行することが原則可能です。したがって、バトンタッチしたら、後継者たる株主(経営者)が意のままに経営しようと思えばできてしまいます。患者さんに寄り添わない経営方針に切り替えたり、言うことを聞かない従業員を要職から排除したり、基本的には後継者の裁量になります。
後継者が建設的なイノベーションをしてくれているなら嬉しいのですが、明らかに理念や良心(例えば獣医師倫理綱領など)に反する経営活動へと舵を切ったり、近視眼的な素人経営に猛進してしまった場合、前経営者としては本当に切ないです。しかし、バトンタッチをしたら、もう待ったなしです。それらのリスクをコントロールすることはできません。

中小企業が100年繁盛するためには、上記のようなリスクは可能な限り取り除きたいです。その観点からすると、確実なのは血縁者に優秀な後継者がいるケースです。2代目院長は初代たる親の背中を見て育ちますから、その想いを大切に受け継いでくれやすいのです。たまに後継者の我が強くなってしまうと、お家騒動に発展してしまいますので、できれば早いタイミングで「事業を継ぐということ」を学んでいただくのがポイントです。

次に確実なのは、従業員への承継(MBO)です。経営者の右腕として頑張ってきた人であれば、経営者の想いを大切に受け継いでくれやすいでしょう。そのような右腕は、待っていれば来てくれるものではありませんから、採用の時点からバトンタッチを視野に入れて面談し、採用後も帝王学を教え、サポートしていくことがポイントです。

願わくば、血縁者か従業員の中から後継者を選んで承継していくのが理想です。もしも、それが叶わないのであれば、次善の策として、第三者への株式譲渡を検討します。その際は、若くて情熱をもって頑張っている臨床家であることが望ましいです。もちろん、院長たるもの、臨床だけでなく経営に関してのリテラシーも高いことが望ましいです。(それらは、事業承継の基本合意書を締結する前のトップ面談で確認します)

そこそこの事業規模であれば、現役の院長が分院展開として買収してくれるケースが、バトンタッチ後のマネジメント等で手腕を発揮しやすいでしょう。また、社会のお役に立つ経営もしてくれるでしょう。

一方、事業規模がコンパクトであれば、他院の勤務医が独立開業する際に、白紙の状態から立地選定や医療機器の調達やスタッフの採用等に腐心するよりも、事業承継して独立開業する方がスムーズでしょうから、そのような成就のさせ方もありえます。

それらの万策が尽きたら、動物病院の現場のことをあまりご存知ではない方々に打診してみるのも致し方ないです。その方が高く売れるかもしれませんが、「こんなはずじゃなかった」とならないように注意が必要ですし、それなりの心の準備や覚悟が必要です。

いずれにしろ、事業とは永続性を前提にしています。(ゴーイング・コンサーン)
ステークホルダーとの関係を良好に保ち、従業員の雇用を守り、商圏内の顧客や診療圏内の患者のために貢献していくことが社会的使命です。ということは、事業承継はマネーゲームではありません。事業承継は永続性のための手段です。後継者にスムーズにバトンタッチできるような準備を早い段階からしておくことが理想です。

心血を注がれた事業を手放す際に、いろいろ逡巡される方は、一度ご相談ください。

【まとめ】
・事業承継のおすすめ度合いは、以下の並び順である。
1) 血縁者に優秀な後継者がいるケース
2) 従業員にバトンタッチ(MBO)するケース
3)第三者に株式を売却するケース
・事業とは永続性が前提。
・事業承継は永続性のための手段。