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動物病院や中小企業のスタッフにおける2:6:2の法則

アリや蜂の巣を観察すると、働く個体とそうでない個体に分かれるそうです。2:6:2の法則といって、2割の働く個体、6割の日和見的な個体、2割の働かない個体が混在するといわれてます。そして、その働く2割を集めて組織を再編成すると、やはり2:6:2になってしまうそうです。

2016年に北海道大学などの研究チームにより、働かない個体の存在理由が公表されました。曰く、働く2割が疲れたときのために、バトンタッチする予備軍として働かない2割が存在するのだそうです。反応閾値という仕事への腰の軽さに個体差を設けることで、労働力を分散させ、万が一の時に組織が全滅しないように配慮しているのだそうです。

この研究結果は、スポーツの世界にも通じます。レギュラーメンバーだけで戦ったら、トーナメント戦で疲弊して、なかなか勝ち進めません。高校野球の甲子園も、サッカーのW杯も、ベンチ入りする選手の層が厚くなければ勝ち残れません。1つのチームがAチームBチーム2つのチームを抱えるくらいの選手層(実際は複数のポジションがこなせるポリバレント能力)が必要です。そして、総合力で戦う戦略が無ければ敗退してしまいます。
サッカーの交代枠は、国際サッカー評議会(IFAB)の決定に基づき2020-2021シーズンより最大5人の交代枠が認められるようになりました。それによって、カタールW杯では交代枠の余裕が生まれ、FWは前半から全力でボールを追いかけ回し、戦略的に相手を疲弊させたから、我らが日本代表はアップセットを実現し、優勝経験国のドイツやスペインに勝てたという分析もあります。やはり、予備軍と交代枠をどう活用するかが、指揮官の腕の見せ所なのでしょう。

ビジネスの世界も同様です。勤勉な2割だけで戦っていたら、マンパワーが枯渇してしまいます。やはり、日和見的な6割と予備軍の2割を活用し、総合力で戦う戦略が必要です。動物病院であれば、VETだけでなく、VNもX線検査や超音波検査を学び、(診断はできないにしても)画像に違和感があれば指摘できるくらいの能力を備えていた方が、全体の生産性が上がります。シニア犬の麻酔や、オペの助手なども、積極的に携わってもらえれば、VETは助かります。

総合力を生かすも殺すも指揮官(経営者)次第です。そうであれば、適時適切にミーティングをし、経営陣の考えているビジョンを共有するのが賢明な指揮官です。働かない(ようにみえる)2割のスタッフに、ビジョンに沿った役割を与え、貢献してもらうことです。
スタッフ向けの全体ミーティングは、月1回は開催するのがお勧めです。分科会や部門ごとのミーティングはそれとは別に月1~2回開催するのが効果的です。朝礼・昼礼・夕礼も、毎日各3~5分でも開催するのが戦略の再現性を高めます。

お忙しい病院や、繁忙期などは、「そんなミーティングをしている暇はないよ」と思うかもしれませんが、リーダーや経営者は、プレイングマネージャーからマネージャーへ軸足をシフトしなければ収拾がつきません。ミーティングをトリアージしてしまうと、働く2割は健気に頑張ってくれたとしても、残りの8割は指揮官が何を考えているのか分かりませんので、機能不全に陥りやすくなります。やはり、忙しい時こそ、ミーティングやコミュニケーションを丁寧に重ねていくことが肝要です。

貴方の職場では、2:6:2の法則はどのような状況でしょうか?離職率はどう推移していますか?採用する→育てる→辞めるという悪循環に陥ることなく、総合力で順調に戦えていますか?

人のマネジメントでお悩みの方は、一度ご相談ください。

【まとめ】
・一般的には2:6:2の法則が組織に蔓延る
・2割の予備軍を活用し、総合力で戦えるかどうかは経営者次第
・ミーティングを適時適切に開催し、経営課題を克服すべし