最低賃金がジリジリと上昇しています。正社員のお給料(時給)も、パートの時給も、新人もべテランも、もれなくアップしています。それも、毎年のように上昇しているので、経営者としてはアタマの痛い問題です。
社労士や労働基準監督署は、最低賃金を下回ってはいけないと目を光らせますが、それらは言わずもがなです。
大手求人サイト等に掲載する場合は、最低賃金を下回った情報はチェック機能が働いて掲載されずに済みます。しかし、自社サイトとか、巷で掲示されている自作ポスターの募集要項等で、うっかりアップデートが遅れているケースも散見されます。御社は大丈夫でしょうか?
多くの経営者は、法令順守してきちんとお給料を払いたいと思っていることでしょう。そして、できればスタッフにたくさん稼がせてあげたいと建設的に考えるものです。しかし、色々な問題が絡んでいますから、話は複雑です。
スタッフにしてみると、働き方改革で長時間労働は是正されました。すると、時間的・肉体的には余裕が生まれますが、これまで残業代で稼いでいたスタッフは収入が下がります。下がった分、時給がそれ相応に上がれば収入を維持できるでしょう。しかし、現実はなかなか厳しいです。仮に最低賃金が(分かりやすく)100円上がったとして、月に180時間働いたとすると、100円×180時間=18,000円ですから、月給が18,000円増える計算になります。一方、月の残業時間が30時間(1日80分ほど)減少すると、時給1,000円だったとしても、30時間×1,000円×1.25倍(割増率)=37,500円ですから、37,500円の残業代が減ります。18,000円増えても、37,500円減るので、月給が19,500円減る計算です。
この計算でいくと、最低賃金はまだ上げなければ辻褄が合いません。減った19,500円分を最低賃金の上昇で吸収するのであれば、単純計算すると19,500円÷180時間=108.33円。最低賃金はあと110円程の上昇が必要になります。実際に、最低賃金の全国加重平均の上げ幅は、厚労省によると2023年は43円、2024年は51円、2025年は66円です。上げ幅もジリジリ上昇しています。今後も上昇すると想定しておかなければなりません。
実際問題、労働集約型の事業は慢性的な人手不足でしたから、働き方改革によって、元々あった残業代が削減されることになったケースが多いのは、容易に想像できるでしょう。最低賃金が上昇して減った残業代をチャラにできるのであれば、スタッフは金銭的な不満はないはずです。しかし、そんなに急激に最低賃金が上昇したら、世の中が混乱しますので、ジリジリとした上昇になっていると言えそうです。
そのような状況では、背に腹は代えられないスタッフの場合、もっと稼げる職場を探さなければなりません。新しい職場で、新参者として馴染んでいく気苦労やストレスに耐えつつ、サバイバルしていくのですから、現実は厳しいものです。去っていくスタッフもストレス。去られてしまう職場もストレス。好ましい状況ではありません。
世の中の変化を憂いても始まりませんので、建設的に考えましょう。お金がすべてではありませんが、やはり、お給料で厚遇できない職場は、基本的には人手不足を拗らせ、縮小均衡の悪循環に陥ってしまうことも…
それでは、経営者はどうすればよいのでしょうか。
そもそも論でいうと、賃上げというのは、生産性や客単価を上げて、適切な利益を大きくしていった範疇で、適正な人件費比率で賃上げ分を捻出するのがセオリーです。
生産性や客単価を上げるうえで、設備投資すれば済むものであれば、積極的に投資するのが得策です。
現場の生産性を上げるには、業務効率化を図るDXの導入などが一般的です。マンパワーに頼って実施してきたことを何らかのシステムで実現してしまうことです。
例を挙げると、予約の電話を減らすためにWEB予約を導入するとか、HPにAIチャットを導入するとか、優れた電子カルテを導入するとか、AIでのカルテ入力をするとか、自動分包機を導入するとか、オートドライヤーを導入するとか、時短できるハサミを導入するとか、洗濯物を干す手間を省くために乾太くんを導入するとか、掃除の手間を省くためにルンバを導入するとか、それらに投資をすべきでしょう。
さらには、労働集約型の事業であれば、スタッフがすくすくと成長し、イキイキと働いてくれる人材育成システムを整備して、事業規模ごとに人員体制をアレンジしていく。それこそ、生産性を高める最重要課題でしょう。
そして、お客様・患者様への料金を値上げするケースもあります。(ただ、安直な値上げは客足が遠のき墓穴を掘ってしまいますので、慎重な舵取りが求められます)
如何でしょうか。最低賃金が上昇することは、固定費が上昇するので、経営者にとってはピンチのような事象です。しかし、ピンチはチャンス。成長のヒントに気付き、大きく飛躍していただきたいところです。
【まとめ】
・最低賃金がジリジリと上昇している。
・生産性を上げていかなければ、賃金の上昇分を賄えない。
・スグできることとしては、業務効率化に投資すべし。
・労働集約型の事業であれば、スタッフの育成システムと人員体制を整えるべし。
・ピンチはチャンス。





